原発のない社会へ 2020びわこ集会 基調報告2

基調報告の続きです。 井戸弁護士は語ります。

4 進む 被災者切り捨て政策
福島原発事故を終わったことにしたい国は、避難者の存在が目障り。
「避難者をなくしてしまおうという政策がすすめれている」と。

(1)避難指示解除
帰宅困難地域以外は、すべての避難指示が解除された。帰宅困難区域でも、オリンピックで福島原発事故が終わったとアピールするためだけの解除が始まっている。 避難者の支援の打ち切りだ。高齢者を除いてほとんどの住民が帰宅していない現実、帰宅できない現実。避難者を苦しめるためだけの解除は、やめるべき。

(2) 住宅支援の打ち切り
区域外避難者だけでなく、強制避難者の住宅支援打ち切りも始まる。経済的に困窮している避難者は、住宅支援打ち切りは大打撃で、裁判も始まっている。 多くの人の支援が必要である。

(3)機能しないADR(原発損害賠償)
東電は原子力損害賠償紛争審査会が和解案を出しても、中間指針を超える金額には原則として応じなくなった。東電のわがままによって、ADRが機能しなくなっている。

 

5 被ばく政策の総括

(1)原子力ムラの原子力延命政策が変化したことを認識して対応する必要がある。福島原発事故迄は「原子力安全神話」(原発は絶対事故は起こさない)の下で、60基近い原発を建設した。

「原子力安全神話」が福島原発事故でこわれた。原子力ムラは「放射能安全神話」を編み出し、放射能は今まで恐れすぎた。この程度の被害は、原発の公益性(電力の安定供給、CO₂を排出しない)を考慮し、受忍すべきだ。

(2)「原発安全神話」に騙された私たちは、「放射能安全神話」をどうとらえるか。

(3) 政府は、福島原発事故による内部被ばくによる健康被害のリスクは、とるに足らないと説明するが本当か。(体内に入った放射性セシウムは水溶性であり、子どもの場合、体液や血液に溶けて20~30日で体外に排出される)

福島原発事故の研究者の努力によって、重大な事実が明らかになった。現在、福島の土壌に含まれている放射性セシウムの98%以上が、不溶性の微粒子の形態で存在していることが判明。

不溶性の微粒子が体内に沈着すれば、数十年という長期にわたって放射性セシウムから発射されて被爆し続け(不溶性の為血液にも体液にも溶けず、ほぼ半永久的にその場所に存在し続け、その周囲の細胞は、放射性セシウムから2mmしか飛ばないベータ―線で集中攻撃を受ける)ガンに発展する契機になる。

子ども達の体を守るためには、放射性微粒子を体内に取り込まないような配慮が重要だ。数十年後に病気が発生し、患者の増加が分かってからでは遅いのだ。

 

6 抵抗としての訴訟の動向

子ども達が健やかに成長できる環境を残すため、福島原発事故の責任者を断罪し、被害者が受けた被害を回復し、原発の運転を止めさせなくてはならない。全国でたくさんの市民が運動を続け、課題が法廷で闘われている。

東電役員の刑事裁判は無罪判決が出たが、東京高裁に舞台を移した。

原発被害者の賠償請求訴訟は多数全国で起こされているが、請求は認めるものの低額に留まっている。その中でも、国の責任を否定したりした低額の中間指針の金額をそのまま認め、司法の役割を果たさない判決がみられる。

四国電力伊方原発の運転差し止め訴訟で、伊方原発3号機の運転を差し止める判決が出た。四国電力の火山の影響評価が不十分で、二度と原発事故は起こしたくない! という市民感覚に合致した分かりやすい判決だった。

 

7 原発事業者の劣化について

(1)関電裏金問題。原発マネーが地元対策のためにじゃぶじゃぶとつぎ込まれていることは承知していたが、その金が関電の取締役個人に還流していたとは想像されていなかった。不正な金を関係者全員が受け取ることによって、誰もが抜け駆けできない結束が生まれ、関電の幹部と森山を代表とする高浜町の実力者とは、互いに利用して利益をむさぼり合うズブズブの関係だったのだ。

少々の原発マネーが落ちても、結局分断と腐敗が残るだけで、故郷の再生にはつながらないことは明らかになった。これに、3000人を超える人達が、大阪地裁に対し、告訴状を提出した。罪名は、特別背任罪、役員収賄罪、所得税法違反罪、独占禁止法違反罪。速やかに告訴を受理し、捜査に着手するべき事案だ。

(2)日本原電

日本原電は、原子力規制委員会に提出資料を改ざんしていた。敦賀原発2号機地下のボーリング調査結果について、「未固結」と書かれていたのを「固結」と改ざんして規制委員会に提出した。まともな事業者のすることではない。

(3)四国電力

伊方3号機の運転禁止を命じられた四国電力は、定期検査中だった同号機で立て続けに事故を起こし、定期検査を中断するどころか、運転差し止め命令に対する異議申し立てすら、しばらくはできないという事態に追い込まれた。組織として、安全に対する意識の弛緩や緊張感の欠如が窺がえる。

(4)関西電力

大津地裁で行われている大飯、高浜、美浜原発訴訟で、とんでもない主張してきた。(中越地震の基準地振動の4倍近い地震動を記録した柏崎刈羽原発の地下構造図と大飯原発の地下構造図をならべ、後者は、前者ほど顕著な褶曲構造はないと主張していたが、縦横比が前者は1:1だったのに、後者は4:1だったことが判明した。)すなわち、後者では、上下が実際の4分の1にしか表示されていなかったのであり、同じ縮尺で比べたら、後者の方が前者より強い褶曲がある事が判明している。

事業者は法令遵守の意識が乏しく、公正さの意識すら欠如している。このような事業体には、原発のような危険な設備を運転する資格も能力もないと断定せざるを得ない。このことは、かならずや、裁判所の認識をも変えていくと思われる。

 

8 終わりに

若狭の原発廃炉を目指す私たちの運動は、平穏な生活を守りたいという願いから出発したものですが、人類が持ってしまった核の軍事利用だけでなく、平和利用もやめさせようという世界的、人類史の闘いの一環でもあります。多くの課題に着実に取組む中で、歴史の歯車を少しでも前に進める力になりたい。これからも1年頑張りましょう。

参加者全体の大きな拍手で、この基調報告を確認しました。

 

「老朽原発うごかすな 5.17大集会 in おおさか」へ

呼びかけ人の宮下正一氏が福井県から駆けつけ、関電告発3000人の代表世話人でもある立場ともあわせて老朽原発の危険性を力強く訴え、「老朽原発を止めれば、原発を止めることになる。ここにいる皆さん。周りの人たちに呼び掛けて、5月17日13時、大阪の大集会に結集してください。」と呼びかけた。

県内避難者からも訴え

避難者の佐藤勝十志さんは、「福島原発事故後直ぐに、危険を感じて家族と共に福島を離れて滋賀県に来た。滋賀県が公営住宅への入居など、受け入れに温かい手を差し伸べていただいたことに感謝している。すぐに被災地から離れたのに、子どもが被爆していたと思うと大変悔しい。国は汚染農地調査を何回申し入れても調査してくれない。汚染土壌が横浜の保育園に運ばれ、その中で、二人の白血球異常が発見された。」などと置かれている実態を時間いっぱい訴えた。

 

わたしたち社民党も参加します
日本から原発を無くしましょう!
その早道が、危険極まりない老朽原発をうごかさないことです。
「原発は要らない」の声を、5月17日(日)大阪「中之島公園」午後1時からの集会にみんなで参加して成功させましょう!

 

 

 

 

 

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