大津市の三井寺に「平和と命をつなぐ9条の碑」が完成し、憲法公布記念日の11月3日に除幕式が行われた。式には建設活動を進めてきた人たち200人以上が参加し、平和のシンボルである9条の願いを人々の心の中に広げていくことを誓い合った。
4月に始まった建設資金の募金活動は県内外に急速に広がり、この日までに目標の300万円をはるかに超える600万円以上が集まった。また建設の場所はこれまでから長年にわたって平和をめざす取り組みを継続してきた天台宗総本山・三井寺の境内で、観光客も多い格好の広場が同寺から提供された。
式典ではまず土井裕章・建てる会代表世話人が「軍隊を持たない国はコスタリカをはじめ世界に20以上もある。戦力や戦争を放棄した日本国憲法第9条は世界の宝」と述べた。碑文に刻まれた文字を直筆で書いた福家俊彦・同寺長吏は「これからこの碑を生かしていくことが大切」と強調した。地元9条の会の三上章道さん(僧侶)は、「憲法をないがしろにする動きが強まる今、この碑の意義は大きい」と喜びを語った。
最後に閉会の言葉として平尾道雄・滋賀首長9条の会共同代表(前米原市長)は、高市政権がむき出しの軍拡路線を進めていることにふれ、「平和を脅かす動きには、まなじりを決してたたかおう」と力を込めて訴えた。
除幕された碑の表面には9条の全文が刻み込まれ、裏面には建設の趣旨が書かれて、「戦争の放棄と戦力の不保持および交戦権の否認」の意義を強調し、「現在に生きる私たちは平和の価値を未来の人たちに伝ええていく責任がある」として、「人々の心の中に平和の砦を築こう」と呼びかけている。
9条の碑を建設する運動は40年前に始まり、全国に3年前から急速に広がって昨年だけで15基が生まれ、今年は5月3日の憲法記念日に7基、この11月3日には山口県下関市と埼玉県狭山市にも誕生、全国で合計76基を数えるという。
