社民党滋賀県連は、11月15日、党員が経営する農園で衰退する日本農業の現状を学ぶため、見学や収穫体験と座談会を開いた。
この日、会場となった長浜市湖北町の近藤農園には党員やサポーターなど20名が集まった。この農園は23年前、近藤和夫さん夫婦と息子が脱サラして開いたもので11ヘクタールの土地でコメを中心にイチゴ、野菜、大豆や大麦など幅広く栽培している。しかし、経営の現状は誠にきびしい。900万円のトラクターや田植機・コンバインをはじめ大小さまざまな農機10数台の購入や何棟ものビニールハウス・倉庫の建設に1億円近くを要した。しかし年間売上高は1200万円にしかならない。経費や減価償却費を引くと100万円の赤字になる。各種の補助金、助成金でどうにか500万円位の剰余金が残るが、従事している3人の生活を支えるのがやっとという。
圃場見学やサツマイモの収穫体験の後、近くの公民館で近藤さんを囲んだ座談会
が開かれて、農業をとりまく現状が話し合われた。日本の農政は「猫の目農政」と言われる。民主党政権下では戸別保障方式で生産が保障されていたのに、自民党政権が復活するとこれが廃止され、離農が加速している。最近でも石破政権で進められようとしたコメの増産が高市政権では一転して減産に変わった。これでは農業者たちが安心して農業に従事できるわけがない。この地域でも離農する人たちが少なくなく、地域農業の継続のために近藤さんがその農地を次々と引き受けているとのこと。
近藤さんは、「コメ60キログラムが一昨年は11500円、昨年は2万円、今年は3万円だが来年はコメ余りで暴落かもしれないという。こんな不安定な状況で農業をやろうという人は出てこない」と訴え、これから必要なこととして「持続的な農業と日本の食糧安全保障の確立に向け、5年先10年先を見据えた安定的な農業政策が大切だ」と強調し、「春には増産と言いながら秋には減産と言う自民党農政に期待できるはずがない」と厳しく批判した。参加者たちも日本の農業を守っていくために、政治を変えていく必要があることを改めて痛感した。
