<誓いの言葉>
社民党副党首福島みずほです。
社民党を代表し、戦争犠牲者のすべてのみなさんに心から哀悼の意を表します。
日本人で300万人、アジアで2000万人以上と言われる犠牲者を出し、71年前の8月15日、戦争が終わりました。軍人・軍属、民間人、侵略戦争の被害者、加害者、戦地での被害・空襲被害者、原爆の被害者、男性・女性、大人・子ども・・・戦争の被害者となったすべての人々に哀悼の意を表します。とりわけここ千鳥ヶ淵墓苑は、今も多くの人々の努力によって、海外から遺骨が戻り、埋葬され、眠っている場所です。異国の地で、家族から遠く離れ、亡くならざるを得なかった人たちの無念や苦しみを思うと、2度と戦争をしてはならないという決意を新たにいたします。
多くの尊い命と人生の犠牲のもとに、わたしたちは、日本国憲法を手にしました。日本国憲法前文は、「政府の行為によって、再び戦争の惨禍が起きることのないようにすることを決意し、主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と規定しています。安倍総理は、自分の在任中に憲法を変えることを宣言しました。そして、7月の参議院議員選挙で改憲勢力が3分の2議席を獲得し、これで衆議院、参議院ともに、憲法改正の発議に必要な3分の2以上を改憲勢力が占めることになりました。多くの人たちの犠牲の上に獲得した日本国憲法をわたしたちが持ち続けることができるのかどうか、今、まさに瀬戸際です。
自民党の日本国憲法改正草案は、憲法ではありません。憲法は、国家権力を縛るものなのに、国民を縛るものになっているからです。「国民は、公益及び公の秩序に従わなければならず、基本的人権は、公益及び公の秩序によって制限できる」・・・このような憲法の尊重義務が国民に課されています。憲法9条を改悪し、自衛隊は国防軍となり、世界中で戦争ができます。憲法違反という概念すらなくなります。
戦後の日本の歩みを振り返ると、平和を貫くいい国だったと思うときがあります。
世界で武力行使をしない、非核三原則、そして、海外に武器を輸出しませんでした。しかし安倍内閣は、それを全部壊して、戦後をひっくり返し、海外に武器と原発を売り、世界中で戦争をすることを可能にしようとしています。昨年、安倍内閣は、安保関連法、戦争法を成立させました。そして、今、解釈改憲から、明文改憲をしようとしています。
わたしは、7月26日と27日、8月5日から8日まで沖縄の高江にいました。オスプレイパッドをさらに4基作る工事を、安倍内閣は強行しています。基地機能の強化です。戦争への加担への道です。71年前の沖縄の地獄を絶対に繰り返させないために、人々は抵抗し、頑張っていました。沖縄県議会は、中止を求める意見書を政府に提出をしています。安倍内閣は、民意も地方自治も無視しています。7月22日には、県道を封鎖し、管理者である県の職員まで排除し、市民のテントの強制撤去を行いました。県道の上のテントを壊し、持ち去り、保管をする権限は防衛省にはありません。この暴挙のなかで、4人が救急車で運ばれました。これは、自民党日本国憲法改正草案のなかに規定してある緊急事態宣言の先取りではないでしょうか。内閣が、法律を無視、あるいは、変えることができるのです。法の支配などどこにもありません。戒厳令の先取りです。
高江のこのような状況を許してはなりません。高江の状況が、日本の近未来になってもなりません。わたしたちは、平和主義、法の支配、立憲主義、基本的人権の尊重といった日本国憲法の価値が、真に実現される社会こそめざしていきます。
戦争犠牲者のみなさん、私たちのそのような努力をどうか見守っていてください。そして、「憲法改悪をさせない」というわたしたちの決意と行動にどうか力をお与えください。
わたしたちは、2度と戦争犠牲者を出さないために全力を尽くすという決意を申し上げ、心からの誓いといたします。
2016年8月15日
社会民主党 副党首 福島みずほ
8月 15 2016