関生労組の闘いを描く映画「ここから」を上映

 

当たり前の組合活動を犯罪にする弾圧は許さない

「関西生コン事件」では国家権力と業界などが一体となった労働運動つぶしが展開されているが、弾圧に屈せずたたかう労働者の姿を描く映画「ここから」の上映とトークのつどいが4月21日、社民党県連合の主催で開催され、会場いっぱいの95名が参加した。生コン労働者の産業別労働組合・全日建関西生コン支部に対して2018年から労働組合弾圧が開始され、警察・検察によって20件近い事件がでっち上げられた。組合幹部ばかりか一般組合員まで延べ81名が逮捕され、1年9カ月に及ぶ長期拘留も続けられたが、弾圧の実状を報道するメディアは少なかった。この間、取り調べの中で検察官が組合脱退を迫るなど類のない攻撃があり、組合員は三分の一に激減した。これに屈せず、元気にたたかい続ける姿が映画にまとめられている。

上映会の冒頭、福井勝県連合代表は、「当たり前の組合活動が不当に弾圧されている。ストライキが威力業務妨害になるなら憲法が保障するスト権は空文化する。これは関生だけの問題ではない」と強調し、「弾圧の事実を明らかにして連帯して闘おう」と呼びかけた。
映画は、一人の女性組合員が主人公となるドキュメンタリーである。シングルマザーで幼い3人姉妹を抱える生コン運転手・松尾聖子さんの証言などを中心に進行する。関生支部の組合員になって働くことで生活は安定し、生活保護から抜け出すことができた。労働者の尊厳と仲間との絆を手にしたが、空前の弾圧が襲う中で多くの仲間が離脱し、家族が引き裂かれた。映画は、「それでも私はやめない」と、労働者として当たり前の生き方を求める姿を描き切っている。

上映のあと、参加者を交えたトークが行われた。まず、主人公の松尾聖子さんが涙ながらに「弾圧が始まって家族4人が仕事を奪われ、生活の不安や弾圧でストレスが重なり心まで不安定になったが、関生の仲間はずっと寄り添ってくれた。人と人とのつながりを大事にしていくのが関生の強さだと思う」と述べ、「正当な組合活動が事件にされないためにも、労働者が結集して当たり前にストライキができる社会をつくっていきたい」と語った。
また、上映会に参加した関生労組の執行委員・平田郁生さんは、「産業別労組である関生は、生コン労働者の生活安定を求めるストライキ闘争や職場の安全や生コンの質の確保などを求めるコンプライアンス活動に取り組んできたが、違法行為とされた。裁判闘争は一進一退となっているが、次々と無罪判決が確定している。日本の刑事訴訟では99%以上が有罪とされていることと比べ、関生への弾圧がいかに異常かを示している」と述べた。そして、「組合員は元気であり、どんなに弾圧されても闘っていく。産業別労組の可能性と今後に希望をもってたたかう」と決意を表明した。
トークの締めくくりとして、司会の西川邦子さんは「(この映画を通じて)一人ひとりでは弱い労働者が団結して、自分たちの生活と権利を守るという労働組合の役割と活動を守っているのが関生労組だと改めて思った」と述べ、連帯して闘うことの大切さを強調した。
最後に、県連合の坂本克彦幹事長は「関生の闘いを自らの闘いと共鳴させていきたい。今年は衆議院選挙の年であり政治を変える時だ。働く者の生活や原発、軍備増強などの問題についても状況を変えていこう」と呼びかけた。そして、こうしたたたかいを伝える「社会新報」の購読を要請した。
参加者からは、「生活者として闘う人が生活のことばで闘いを語る。闘う人の強さも無念さも、そして明るさも。直接、心に響いた。もともと組合運動はこういうものでなかったか、こうしてつながっていくものでなかったか、と思った。」との感想が寄せられた。
党県連合がこの上映会を企画した当初は40名程度の参加を予定して会場を準備したが、その2倍を超える参加者があったことは、関生への弾圧が他人ごとではないという認識が広がり、党が組織的な取り組みをすれば多くの人たちを結集できることを示した。各地での上映活動の広がりが期待される。

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